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ひとくち豆知識
クラキ横中ぐりフライス盤の便利機能「W軸加工」

倉敷機械株式会社 工機営業課 係長 山田 孝裕

昨今の全世界的なカーボンニュートラルの動きは工作機械業界にも影響を及ぼし始めました。今後工作機械の各メーカーにおいては機械の省エネ化、長寿命化の動きが予想されます。弊社クラキは70余年横中ぐりフライス盤を中心に製造しているメーカーですが、常にこうした周辺環境の変化に対応して参りました。

今回のひとくち豆知識では機械の省エネ化、長寿命化及び使い勝手の良さにおいて、大変便利なクラキの主軸機能「W軸加工」についてお伝えしたいと思います。

     

通常横中ぐりフライス盤では、ワーク+テーブル、またはコラム全体を動かしてドリル、タップ等の加工を行います。これを「Z軸加工」といいます。
反対にワーク+テーブルやコラム全体は動かさず、主軸のみを繰出しながら加工する方法が「W軸加工」となります。

     

「W軸加工」を「Z軸加工」と比較すると移動させる質量が圧倒的に少なく、加工時の消費電力と、機械への負担を大幅に軽減させる事が出来ます。
例えばM16を100ヵ所空けたテスト加工では、ドリルサイクルで消費電力を1/3、タップサイクルで1/2と低減出来ました。この様に頻繁な加減速を繰り返すような多数穴加工時に「W軸加工」は有利となり、「Z軸加工」と使い分ける事で機械の省エネ化、長寿命化に繋がります。

     

また「W軸加工」ではワーク加工点と切削剤ノズルの位置は変化しないので、切削液の周囲への飛散を軽減し、加工点にピンポイントで当て続けられます。この為効率良く加工点を冷却、切粉を迅速に除去し、ノズル角度を加工途中に手で調整するといった煩わしさもありません。

     

他にも「W軸加工」は大形異形ワークでは機械との干渉が怖い場合等も主軸のみ動かして加工出来るので、オペレータ様にとって安心出来る加工方法となります。
また主軸繰出しを利用したアタッチメントの使用も多くの加工現場で行われて参りました。

以上の様に「W軸加工」は、省エネ、長寿命化及び使い勝手において多くのメリットが出て来る「一度使ってみると手放せない便利機能」となります。それ故納入頂いた弊社横中ぐりフライス盤ユーザー様から長年ご好評頂いて参りました。
「W軸加工」は、二重主軸構造における高精度のハメアイと、高剛性のW軸案内構造によって実現されるものであり、クラキ主軸のPRポイントになっております。
今後、横中ぐりフライス盤検討の話が挙がった際に、今回のひとくち豆知識「W軸加工」を思い出して頂ければありがたく思います。